No graffiti

アメリカで発展したスプレーなどで壁に描かれるGraffitiは日本でも都市部を中心に多く見られる。Graffitiは主に名前を記す行為であるが、大きく元のアルファベットの形を崩し、独特の装飾的な表現で描かれることでそれが文字なのか絵なのかの境界線が曖昧になる。日本人の私には母国語とは別の言語の文字(この場合アルファベット)の形が崩れると文字としての認識は薄れ単なる図形・記号に見えてくる。しかし日本語(ひらがな、カタカナ)で書かれている看板を見ていてもそれが文字ではなく図形、記号に見えてくることがある。日本にある「立入禁止」などの注意が記載された注意喚起の看板は、注意を示したい単語だけ赤いインクで印刷するが、インクの特性上、黒インクよりも日光や雨などによって色が落ちやすく古くなると次第に赤の文字が抜け落ち文章として成立しなくなり、残された黒い文字を見ていると文字としての存在感を失っている。それはgraffitで描かれる崩されたアルファベットを見ているときに感じるものと共通している。このzineでは古くなった看板の残された文字を用いて文字と絵の曖昧な様子を表現し、そしてひらがなやカタカナを用いることで日本的graffitiのスタイルを模索した。